建設工事現場の脇の歩道を歩いている時に、振動と騒音の大きさが表示されているのを見ました。これってどんな意味があるのでしょうか。
騒音と振動に関する法律
環境省によって、騒音については「騒音規制法」が、振動については「振動規制法」が制定されています。
例えば、私が遭遇した”建設作業現場”だと、以下のような規定になっています。
騒音の大きさは、敷地境界において85デシベルを超えないこと。
振動に大きさは、敷地境界線において75デシベルを超えないこと。
建設作業以外でも、工場や道路交通など場所や時間帯などで規制基準値や要請値として値が示されています。
デシベルって何
騒音も振動もデシベルの数値で表されています。同じ単位何でしょうか。そんなわけありません。
デシベル([dB]と表す)はそれぞれある基準に対して、どのくらいの大きさの比率かを表すものです。
例えば、1を基準とした場合、
1が0(ゼロ)デシベル[dB]、その10倍の10が20デシベル、100倍の100が40デシベルという感じ。
逆に80デシベルだとすると、もとの値は10000です。
元の値の単位は、以下で述べるマイクロパスカルや加速度、そのほかにも電圧、電力などでの場合のこともあります。
このデシベルは、取り扱うレベルの範囲の比率が大きいものに用いられるます。
騒音の大きさ
騒音の大きさのデシベル表示の基準は、20マイクロパスカル[μPa]です。
これは人間が聴くことができる最も小さな音圧の値として設定されています。
地上の大気圧はおよそ1000ヘクトパスカル[hPa]なので、その50億分の1が基準ということです。
普通の会話は60デシベル程度です。これは大気圧の5000分の1程度になります。
地下鉄の車内が80デシベル程度です。これは大気圧の50分の1、つまり2%程度になります。
このくらいだととかなり大きな変動が起きていることが実感できる数値になってきます。
とても小さい音の環境についてですが、比較的広めの無響音室に入ったことがあります。
そんな経験が無くても健康診断などで聴覚検査の小さいブースなどに入ったことがある人も多いかと思います。
どちらも静かすぎて逆に耳が”モワ~”っとするように私は感じました。
晴天時の静かな富士山の山頂部分を一周するお鉢巡り(おはちめぐり)をしたときにも、似た感覚を感じました。
登山道を上り切り山頂につきます。そこから山頂部分を半周くらいすると下界の喧噪も遮断されます。
そこでシ~ンとした無音の興味深い体験をしました。
振動の大きさ
日本国内の規格では、振動の大きさのデシベル表示の基準は加速度で、0.00001メートル毎秒毎秒[m/s/s]です。
基準が加速度なので、揺れの大きさだけではなく、それがゆっくりした揺れか速く細かい揺れかでも違ってきます。
周期0.05秒の震度1相当の地震の加速度が0.1m/s/sです。このときの値が80デシベルになります。
ちなみに、2003年5月26日の宮城県沖地震の大船渡市では最大加速度が1105.5gal(=11.055m/s/s)でした。
これは120デシベルというとんでもない値になります。
おまけ~表示装置の写真撮影
最初、表示値の写真をとるときにカメラのシャッタースピードが速すぎて数値がうまく取れませんでした。
絞り調整をしてシャッタースピードを遅くして取ったのが一番上の表題の写真です。
表示装置で発光している各点は短い時間でみると、チカチカと点滅しながら表示していることがわかります。
比較的、大きな規模の建設現場ではこのような騒音や振動計表示がみかけることができます。
そこに表示される値について、少し意識してみると面白いと思います。
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