「通勤電車の手すりはパズル?」という記事をかいたことがあります。
通勤時など、手すりが作られてている一つ一つの部品についても考えると、あっという間に時間がたちます。
そのとき、疑問に思ったことを調べたり、気に留めておくことで、好奇心をより育てるきっかけにもなります。
縦横に走る手すりパイプたち
電車の車両、特に通勤型の電車に乗ると、車内に、銀色に輝く金属の手すりパイプがたくさんあることに気がつきます。これらの部材の多くは、鉄系の金属パイプにクロムメッキされたものの場合が多いです。
車両の種類によっては、表面がアルマイト加工されていて、アルミニウム材質と思われるものもあります。また、表面に色付きの凸凹の樹脂が巻き付けられたハイブリッド形のものもあります。
すいている電車で、人の迷惑にならないように、そのパイプを人指し指で、”ピンッ”とはじいてみます。ほとんどは、”カーン”との反応があり、確かに金属だと実感できます。しかしながら、短い部材だと、その反応が”コンッ”と鈍く反応するものがあります。これだけでは断定できませんが、、樹脂素材のパイプにに金属メッキしてる可能性も感じます。
このように、見て、さわって、時にはこっそりと軽く指ではじいて音を聞いてと、いろいろな感覚をつかって幅広い情報を得る試みをしています。
曲がっているパイプが増えているような気がする
世の中が進むににつれ、従来、カクカクしていたものばかりだったものが、丸いものが多くでてくるようになりました。電車内のパイプが曲がってきたのもそうです。
この原因は、大きく3つあると思います。
それは、安全性の向上、デザイン性の向上、そして加工工程の効率化(コストの低下)です。
安全性の向上
角ばったところにあたると、丸いところにあたるよりは、狭い面積に力が集中することになります。丸いとこにあたると、多少広い面積に力が分散されます。
怪我などが発生することは少なくなります。万一怪我をしたとしてもその程度はだいぶ軽減されることが予想できます。
デザイン性の向上
安全性も含めて、見た目のデザインの向上の意味も大きいです。カクカクだけでなく、ところどころ大きな丸みがあるほうが、人の心も安らかになりやすいのではないでしょうか。
加工工程の効率化
1990年代から3次元の設計支援システム(3D-CAD)、もう少し簡単にいうと機械などの製図の支援ツールが広まってきました。
しばらくするとその設計データから、加工用のデータ作成まで転用できるようになり、加工製作現場での作業が軽減されたというのもあると思います。
また、3D-CADなどを用いることで、複雑なものも、間違った設計がないかを事前に検証できるようになりました。間違った設計とは、部品を一個一個設計はしたものの、組み立てたときにぶつかるとか、ねじ止めするためのスペースがなく組み立てられない、などです。
パイプはどうやって曲げるのか
パイプを曲げるのには、パイプベンダーという器具を使います。ベンド(bend)とは”曲げる”という意味です。そのままですね。
難しそうに思えますが、器具があれば比較的簡単な加工です。DIYに凝っている人など、自前で持っている人もいるようです。
YouTubeで”パイプ曲げ加工”などで検索すると、加工の動画を見ることができます。
通常、調べて出てくるパイプベンダー加工は、一点を基準に曲げる作業です。
デザイン性に凝った「曲げ具合の緩やかな加工」や「曲げ具合に連続的に変化をつけていくような加工」は曲げの基準となる中心点を移動させながら曲げなければならないので、そのような機能をもつ自動機械でないと加工は難しいと思います。
パイプとパイプの接合
パイプとパイプの接合は、写真で見てわかるように、溶接もしくは、接手による接合です。
溶接加工の方が、出来上がりがでっぱりもなくすっきりします。最終現場作業も簡単になります。
各部品の長さなどの大きさの制限や組立ての制約から、溶接か接手を使うかが決まっていくものと思われます。
このように、普段なにげなく見てみることも、ひとつひとつ要素技術があることがわかります。
そして、これを設計している人がいます。
設計者が設計者になったつもりになって、「だから、ここはこうなっているんだ」とか、「わたしだったら、こうするんだけどなぁ」などと思って通勤時間を過ごすのも、時々試してはいかがでしょうか。
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